「LET'S GO WORLD HOUSE〜ナイスガイ・ジェフ」






LET'S GO WORLD HOUSEといえば、何故か夏の事ばかりが思い出されてしまうのは何故だろう。思い出のバックにはいつも夏の青く高い空がある。

入居当初、私の隣の部屋にはカリフォルニアからやってきたという、めちゃくちゃ格好いいジェフが住んでいた。ブロンドヘアで深いブルーの瞳、そして笑うと真っ白な歯が綺麗だった。めちゃくちゃナイスボディで、暑い日の単パン姿のジェフの体はただただ美しく、若い管理人は廊下ですれ違うだけでもドキドキしたものだった。私は個人的にアメリカといえば東海岸の方が好きだが、ジェフを見ている限りではウェストコーストもいいかもね〜なんて思えるほどの・・・それくらいのナイスガイだった。

ジェフには髪の長い日本人の彼女がいて、二人はいつもきちんとした身なりでよくデートへ出かけていたが、彼女がジェフの部屋に入った事はなく、出かける時もいつも玄関先でジェフを待っていた。狭くて暑くて汚いアパートだから彼女も呼べなかったんだよね。管理人としては申し訳なかったです。

それでもハウスに住む外人達はいつでも部屋のドアを開けておいて、開いている時は誰でも入っていいよ、というようなきまりだったから、私は困った事がある度に(それを言い訳にして)ジェフの部屋へよく遊びに行ったものだった。

ある夜のこと私はベットに入ろうとした時に天井をつつつ〜と走る黒い物体を発見!げげっ、ゴキだ。この世の中で私の最も恐れるゴキブリ。心臓がばくばくしてくる。うっ、どうしよう・・・。完全にその場に固まる私。

その時だった、私のちょうど真上まできたゴキ君は、何を思ったかストンとスカイダイブしてしまったのだ。固まっていた私の背中とパジャマのちょうど間に向かって突入!

ぎゃぁぁ〜〜〜ぁ〜〜!

騒ぎまわる私。その声に驚いてお助けマン・ジェフの登場。

私「ここにゴキが入ってる(ぶるぶる・・・)」
J「大丈夫、ほらもうそこを走っているよ」

半泣きの私を慰めながらジェフはそのゴキ君を目で追いながら叫んだ。

J「あ、あいつだよ!」(え?あいつって?)
J「MY FRIEND!」
J「よく見てごらん。背中が光ってるデショ」

よくよく見るとゴキ君の背中に丸い緑のような黄色のような模様が・・
何これ??

固まったまま、そして目に涙をためた管理人に優しい声でジェフが説明をはじめる。

「このアパートにはたくさんのゴキがいるよね。」(うん、うん。)
「殺しても殺しても追いつかないよね。」(うん、うん。)
「だから、僕はゴキで遊ぶ事にした。」(え?)
「まずゴキブリを素早く捕まえて、背中に蛍光塗料を塗る。」
「そして離してやる。」
「するとある日そのゴキ君はまた僕の部屋にもやってくる。」
「印つけたから暗闇でもよくわかる。」
「それでどうすると思う?」(そんなのわかんないよ〜)

ジェフは自分の部屋にもどりY字型の枝でつくったパチンコを手に戻ってきた。

「これで、そのゴキ君を狙ってパチン!」

言葉をなくした私に、最後のとどめ。

「暇な時にはたくさん集めておいて一斉に離すんだ。すると部屋中に怪しい光が動き回っておもしろいよ」
「どんな事でも楽しんでポジティブライフね!」

隣の部屋で、そんな恐ろしい事が毎夜毎夜繰り返されていたのか。そしてつまりは、こわくなったゴキ君達は私の部屋に逃げてくるって訳ね。いくらポジティブっていったって、そんな・・・。

次の日の朝一で、アパートを経営している社長へ電話をして部屋を代えてもらえるように頼んだ私。(ジェフごめん)
しかし幸か不幸か、今度の新しい部屋は洗濯ババァ側のおまけにジャンの真下の部屋。

この先、管理人の運命やいかに・・・。

(つづく....)














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